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木材の働きと自然循環

木材の働きと自然循環

気象や生態系の維持に欠かせない森林

木材は正しく維持管理すれば持続可能な資源です。違法伐採などの影響で世界中から森林が消えていってますが、森林の果たす役割は気象や生態系の維持など多岐に渡ります。
旭川や飛騨など有名な家具産地の近くには森林があります。しかし、私たちの会社がある大川には森がありません。にもかかわらず、日本最大の家具の生産拠点として発展してきました。
それは大川に流れる筑後川の上流に日田という九州有数の山林地帯があるからです。
大川には森林がありませんが、主要産業である家具づくりには木材が欠かせません。今日はそんな木材を生み出す森林の役割について考えてみたいと思います。

災害を防ぐ森林

大雨が降った場合、雨はどうなるでしょうか? 重力の法則にしたがい、空から地面へと雨粒が落ちてきて地面に染み込みます。この量が増えてしまうと地面が吸収できる水分量を上回って水が溢れてしまいます。
しかし木が生えているとどうでしょうか?木は構造上、根、幹、枝、葉でできており、根から水分を吸収し幹を通じて全体へ送られます。
根が生えていることで土中の余分な水分を吸収してくれるのです。適切に管理された森があることで、森が天然のダムの役割を果たし災害を防ぎます。

気象に影響を与える森林

木は地中から水を吸い上げ、水蒸気として水分を大気中に放出する役割もあります。水分を大気に放出することで雲ができ、雨が降ります。
木材を切りすぎると水分を保持し、大気に放出する役割ができなくなります。雨が降らないと、空気が乾燥します。そうなると山火事の原因に繋がったりすることにも…
そうなってしまうと土地は瘦せてしまい砂漠化を起こしてより一層人間が生活し辛い環境となってしまいます。
これを防ぐためにも木を植えることは重大な役割を果たします。

地域の生態系を守り育てる森林

森の中には様々な動物や昆虫、植物が暮らしています。これらは森林の作り出す食物連鎖の中で生きています。木の幹や植物の実を食べる昆虫や動物が存在し、それらを食べる動物が存在し、その動物の出す排泄物が土の栄養として森に還っていきます。また森の木々は動物達の巣にもなっています。
こうして森の生態系が循環しているわけですが、その大元である森を構成する木を大量に伐採してしまうと、動物達の生活環境が奪われてしまいます。
そうすることで絶滅、もしくはその危機に瀕している動物たちが多数存在します。

森を育て自然の恵みを受け取る

森を育てるのはとても時間がかかります。一見すると木を伐採することは環境に良くないことのように見えるかもしれません。
森を育む植物にも人間と同じように寿命があります。植物の働きとして一般に知られている二酸化炭素を吸収し、酸素をつくる光合成の役割ですが、樹齢が高くなるとその力は段々と衰えてしまいます。
そうした樹木としての役割を終えようとしている木材を伐採し、新たに若い芽を植林することで、森は豊かになります。
ここ大川には森はありませんが、産地全体の取り組みとして早生広葉樹であるセンダンの植林などを通じて森を育てる活動を始めています。この成果はすぐに出るものではありませんが、今後も産地の様々な環境への取り組みについてもお知らせいたします。

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